写真撮りたい派というより、シャッター切りたい派だから。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

誤解を恐れずにいえば、僕の場合はそうだ。僕は「写真を撮る」とか「記録を残す」という以上に「シャッターを切る」という行為が好きなんだ。それをじぶんでも自覚するのは、家の近所の散歩写真を懲りずに撮っていることもそう。愛犬との散歩の時の光景なんか、いつもの見慣れた風景だし、さして毎回撮るほどのものではない。けれど、いつも僕はなんらかのカメラを持って出かけてはシャッターを切る。

しいていえば毎回、写真の実験を楽しんでるようなところはある。カメラやレンズを替えるのはもちろん、ISO感度を変えたり、ホワイトバランスを変えたり、露出をいじったり、光と影をつかまえる角度を変えたり。それで、いつもとどんな風に異なる写真が撮れるんだろうとゲームのように探求してるところはある。けれど、それもこれも大元は「シャッターを切りたい」という欲求があるからで、その光景を写真に収めておきたいというものとは少し異なる。

かといって、別にカメラやレンズをコレクションしてるつもりもないので、カメラ好きかと言われればまあそうではあるけど、それを上回るのが「シャッターを切ることが好き」ということであって、カメラやレンズがある程度増えるのは、「それぞれのシャッターが切れる感触」を確かめたくて、実際に手にして日々実感してるような毎日なんだ。変かな、でも、これが割とリアリティのある僕とカメラの向き合い方。それでたまたまいい写真が撮れたら、それは追加のご褒美みたいなもので、そういう意味で撮れる写真を楽しんでるとこある。この話はもう少し書けそうだけど、続きはまた追い追いということで。

「オリンパスのひと」というのもクリエーションを感じる。

OLYMPUS PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

考えてみると、僕の手元にはいつのまにかオリンパス機が3台ある。同じブランドのカメラが3台なんて大したことない数かもしれないけど、ニコンとライカ中心だった僕のカメラ生活からすれば、まったく想定していなかったシナリオと言っていい。

最初のオリンパスはたしかハーフサイズのフィルム機 PEN-EE2だった。そのキュートな佇まいにお店で目があって思わず持ち帰った。ハーフサイズのカメラを持っていなかったこともあり、これは入手の動機としてはまあアリだと思う。

問題は(笑)その次に手に入れたフィルム一眼レフのOM-1Nかな。これはじぶんてもまったく想定外だった。だって一眼レフはニコン機たちが十分あるし、少し前にペンタックスSPもひょんなことから入手していたから、どう考えてもラインナップ的には必要ない。けれど、恋に落ちたんだなあ、オリンパスの端正さに。コンパクトで精巧なそのつくり、そしてPEN-EE2で魅せられつつあったズイコーの写りのせいだと思う。

そして、その先にデジタルPEN-Fがいた。このPEN-F購入の経緯は少し前のブログに書いたけど、まあでもこの先に手に入れた2台のオリンパス機の影響はやっぱり布石になったと思うし、なんというか「オリンパスの姿勢、オリンパスカメラのめざす道」みたいなものに共感したんだろうな、と思う。

オリンパスのカメラは、ニコンやキヤノンといったメジャーブランドと比べると、同じ方向を追いかけても勝ち目はないから、独自の道を導き出し、独自のファンをつくろうとしていると思える。決して大人数ではないかもしれないけど、少数でも濃いファンをつくろうとする姿勢とでも言えばいいだろうか。そこに僕はクリエーション感をビンビンに感じるんだろうと思う。ちょっと不利なツールで巨人たちを凌駕する快感みたいなものと言ってもいい。

実際、Twitterの中を見ても、オリンパスユーザーはやはり少数派に思えるし、デジタルPEN-Fユーザーに至ってはほとんど見かけない笑。でも、だからね、僕がその稀少なユーザーの一人としてこのPEN-Fでありオリンパス機を宣伝しなきゃと妙に使命感もあるんだよね。フィルム時代のオリンパス機はもっとメジャーな印象あるかな。それでもクリエーション感は変わらない。独特の存在感を放つカメラたち。そうだな、「オリンパスのひと」になるというのもいいな。それ自体が創造性がある、うん。

ところでマイクロフォーサーズってどうなの という問いに対して 僕が思うこと。

OLYMPUS PEN-F, M.Zuiko digital ED 12/2

マイクロフォーサーズと聞いてどんな印象があるだろうか。僕の拙い知識でも、一般的なコンデジよりは大きなセンサーを積んでるとはいえ、フルサイズはおろかAPS-Cより小さなセンサーサイズでどこか本格的ではないライトなカメラ、という印象がある。いや、正確にはあった。今は全然違うのである、その食わず嫌い的な印象とは。

二週間ほど前に僕が初めて手にしたマイクロフォーサーズ機が、上の写真のOLYMPUS PEN-Fだ。このカメラを手にして以来、僕のカメラの見方は大きく変わろうとしている。見た目やシャッターフィールにまず一目惚れして購入したカメラだけど、当たり前だけど今まで気にも留めていなかった故に僕の前を素通りしていたマイクロフォーサーズ関連の情報が目につくようになる。そうすると、だんだんとこのマイクロフォーサーズというカメラが究極のカメラに思えてくるのだ。

僕はカメラをAPS-C機の一眼レフから始めた。その後、フルサイズの一眼レフへ。そしてレンジファインダーへと進展していったので、各種フィルム機と合わせても、ひと通りカメラの種類を経験してきたアマチュア写真愛好家のひとりだ。自慢できるほどの腕も知識もないが、それでもひと通りカメラの種類を経験してきた僕がたどり着いたのがマイクロフォーサーズだったというのは、多少のカメラ選びの参考意見にはなると思う。

まず、センサーサイズ。その写りの芳醇さというか奥行きや余裕みたいなものでいえば、やはりフルサイズが良いという実感はある。けれど、それは撮るシチュエーションにもよるもので、僕の場合でいえば週末なんかに時間をかけてゆっくり撮りたい時はフルサイズ一眼レフのNikon DfやフルサイズレンジファインダーのLeica M-P typ240を好んで持ち出す。けれど、フルサイズとなるとそれなりにボディも重いし、レンズもフルサイズ用となるとなかなかゴツい。フルサイズ機ゆえに作り込みも良いから当然ファインダーの眺めやシャッター音も気持ちいいんだけど、それは僕にはあくまでゆっくり撮れるシチュエーションで喜ばしいものであって、舞台が平日の仕事鞄の中や街中スナップとなると事情が変わる。

僕はM型デジタルのLeica M-P typ240はフィルムライカでのストリートスナップの延長線上で購入したから、もちろん街中スナップにも持ち出すけど、やはりそれなりに重いのである。これはボディが薄くなった最新のM10でもそれほど変わらない意識だろうと思う。そうしてよりコンパクトなLeica X2を手に入れたりするわけだけど、やはりファインダーやレンズ交換式など本格的仕様のカメラで撮りたいという欲求はどこかある。それでいてできるだけ軽量コンパクトなものがいい。そんな良いとこ取りのムシのいいカメラなんてあるのか?となるわけだけど、それがあったのである。マイクロフォーサーズ機である。

潜在的にはそんな究極のバランスのカメラを求めつつ、マイクロフォーサーズなんて意識していないからすぐにそういうカメラ選びの行動に出たわけではない。毎週、数本のフィルムを現像に出したら受け取ったりするのにカメラ屋を訪れてる際に、ほんとに待ち時間に何気なく触れてみたんだよね、PEN-Fに。特に新品のカメラを買う予定もなかったから、ほんとに時間つぶしに触ってみたのが正直なところなんだけど、シャッターを切ってみた時に「なんだこれ、いいじゃん」とハッとしたのが最初なんだよね。実機のフォルムもよく見るととてもクラシカルかつクールな作り込みで、見れば見るほどとても好みであることに気づく。このPEN-Fがマイクロフォーサーズだと意識したのはその後のことだ。

それから何度か同じようにフィルムの現像出しや受け取りでカメラ屋に立ち寄るたびにPEN-Fを触るようになる。買うまでには至らなかったものの、気になるもんだからネット記事でPEN-Fのことをちょこちょこ検索するようになる。Twitterでも検索してみるんだけど、これがなかなかユーザーも少なく、どこかメジャーではない存在みたいなことも分かってくる。結局、三、四回通ったかな、四回目の朝には購入を決めていたじぶんがいた気がする。そうそう、その日の朝にTwitterで赤城さんにレンズキットのM.Zuiko 12/2の購入の是非を相談したりしてね。あ、今思うと、その少し前にCAMERA fanのTwitterアカウントさんが赤城さんのレビュー付きでPEN-Fのことをツイートしていたのも、僕にPEN-Fを意識させたきっかけのひとつだと思う。

でも、いずれにしても、コンデジでもない、フルサイズでもAPS-Cでもない、軽量コンパクトなんだけど本格的撮影フィールのカメラを僕は探し続けていたんだと思う。そこに偶然の出会いで現れたのがマイクロフォーサーズのPEN-F。そして、手に入れたその日から、僕の中の永遠のカメラ探しがどこかひと息つけた、そんな感覚がしたのである。やっとたどり着けたという安堵感であり、幸福感であり到達感みたいなもの。これは言葉で説明するのはほんと難しくて、できればお店で実機を触ってほしいと思う。そして、あらためてカメラに詳しい店員さんにマイクロフォーサーズ機の魅力を聞いてほしいと思う。

かつてフィルム時代にハーフサイズのコンパクトなカメラを作っていたOLYMPUSが現代に送り出す、フルサイズ機よりもAPS-C機よりもさらにコンパクトなマイクロフォーサーズセンサー搭載機。そして、フィルム時代に米谷さんの尋常じゃないこだわりによって神話化したといってもいいオリジナルPEN FやOM-1、PENシリーズのあの作り込みの凄さが現代に宿る21世紀のOLYMPUS機たち。その迫力は手に持った瞬間に電流が走るように感じられると思う。あとね、マイクロフォーサーズはPanasonicと共用しているのもいい。レンズは2社を中心にたくさん選べるし、なんといってもコンパクトなものばかりでコストも安く抑えられている。街中でスナップを撮る僕にしてみれば、もうすべてが理にかなっているという他ない。シチュエーション次第では圧倒的にこのマイクロフォーサーズはトップに躍り出る実力を持ち備えているのである。

そうやってマイクロフォーサーズに対する興味をきちんと持ち始めると、決して多くはないけどネット上なんかでもマイクロフォーサーズの情報が視界に入ってくるようになる。カメラはみんなが持ってるメジャーなものがいいという人には不向きかもしれないけど、あまり人が持っていなくて、それでいて通好みな高次元の実力の持ち主のカメラが欲しいということであれば、僕はこのマイクロフォーサーズ機でありPEN-Fというカメラを俄然激しくおすすめする。OLYMPUSが創業80周年を機に打ち出してきた、まさに気合の入り方が違う名機。そう、僕には間違いなくこのPEN-Fは名機であり、マイクロフォーサーズというカメラの印象を派手にひっくり返してくれたとんでもなく秀逸なカメラなのである。

ミラーレスPEN-FにElmar M 50/3.5をつけて、秋の小道を撮り歩いてみた。

Olympus PEN-F, Elmar M 50/3.5

手に入れたばかりのPEN-Fの試し撮りはもっぱら、レンズキットで手に入れたM.Zuiko digital ED 12/2で行ってきたが、僕がPEN-Fが欲しかった理由はオールドレンズをつけて楽しみたいというところもあって、ついにというかアダプターを介してMエルマーをつけ、少し撮り歩いてきた。

Olympus PEN-F, Elmar M 50/3.5

コンパクトなPEN-FにElmar M 50/3.5をつけると多少フロントヘビーになるが、ブラックボディに艶めかしく輝くシルバーのエルマーは見た目にもなかなかカッコいい。PEN-Fがレトロ調な佇まいのデザインということもあって実にしっくりくるんだ。MエルマーはふだんはLeica M3かLeica M-P typ240につけることが多いが、ライカボディと遜色ない“アリ”な雰囲気を醸し出す。

Olympus PEN-F, Elmar M 50/3.5

スナップの舞台はいつもの僕の散歩道なので特に変哲のない光景であることはご容赦願いたいが、感想としては「あゝエルマーだな」といったところ。それはもちろん良い意味で、柔らかさと緻密さが絶妙に同居するあのエルマーな感じがやっぱりするのである。

Olympus PEN-F, Elmar M 50/3.5

特筆すべきことは、センサーサイズがマイクロフォーサーズであることと、それによってレンズの焦点距離が二倍の100mmという中望遠になること。ふだん標準域の50mmか広角域のレンズを使うことが多い僕にとっては100mmの世界はかなり久しぶりだ。撮ろうと思って目をつけた景色をファインダーを通して眺めると、想像以上に大きく寄りで撮れることに少し驚く。

Olympus PEN-F, Elmar M 50/3.5

レンズを変えるというのも新鮮だけど、焦点距離を変えるというのも脳がいい意味で驚いて楽しい。M.Zuiko digitalのコンパクトな広角レンズと比べると、Elmar Mは少し鼻先が重くはなるけど、とにかく元々のボディPEN-Fが軽量だから、それほど気にならない。いろんな意味でPEN-Fにエルマーはアリだなと思った。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

あとは、マイクロフォーサーズというセンサーサイズでオールドレンズの描写はどうなんだ?というところだけど、ここまで触れなかったのはそのせいでもあるんだけど、これがまったく不足を感じないのである。少なくとも僕が撮る程度のスナップの範囲では破綻はない。ちょっと拍子抜けするくらい焦点距離以外は、いつものエルマーの描写に見える。んー、画質という面でのフルサイズへのこだわりはほんといらないかも。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

となると、ちょっと今日は中望遠で撮りたいなという時は、何も考えずにPEN-Fにエルマーやズミクロン、ジュピター8なんかをつけて撮れるし、持ち出す軽快さでいってもフルサイズのLeica M-P typ240に装着するよりは断然気軽だ。単にオールドレンズ用ボディを手に入れたというより、焦点距離まで含めて変化を楽しめるボディを手に入れたと思うと、新鮮さがさらに倍増する。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

そうそう、ちなみに僕はPEN-Fの画質とサイズの設定はミドルで全然高画質では撮っていない。ブログやSNSのポストならそれで問題ないというのもあるけど、昔読んだ田中長徳さんの本に長徳さん本人もそんな画質でしか撮っていない(なんなら仕事で撮る時もそうだと笑)というのを読んで以来、僕も実践している。僕のピントの腕前なんかは置いといて、それでもこれだけ撮れるわけだから、だったらデータ保存上もこんな楽なことはない。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

こうなってくると、週末のじっくり撮れるひとときでも、一眼レフやデジタルライカをさしおいて、俄然PEN-Fの出番が増えそうな気がしている。小さく、軽く、シャッターフィールも絶品。そのうえ、オールドレンズ も楽しめて、撮り歩くリズムがとても軽快にもなる。決してオーバーな表現ではなく、PEN-Fはカメラをひとつだけ待つとしたら究極の選択肢になるんじゃないかと思う。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

世の中はちょっとしたフルサイズミラーレスブームだけど、本当の意味での使い勝手とか、じぶんの使い方をじっくり見つめ直すいい機会にして、場合によってはマイクロフォーサーズのミラーレスPEN-Fという選択もアリなんじゃないだろうか。加えてオールドレンズでいくつもの顔を楽しむのもまたアリ。僕もまだまだ使い始めたばかりなんで、このカメラの可能性をもっともっと突き詰めてみたいと思う。日々、楽しくシャッターを切りまくりながら。

カメラは「何を持っているか」より「いつも持っているか」が大事。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

僕は写真以上にカメラが好きだし、機材に対するこだわりもそれなりにある。でも一方で、写真は人に見せることもあるけれど、カメラは道具で人に見せるものではないから、ただただじぶんが好きなものを持てばいいだけだという割り切りもある。

持ってるカメラが何であるかは究極どうでもよくて、もっと大事なのは「カメラをいつも持ち歩いておくこと」かなと。カメラを常に持ち歩いていても一枚も撮らない日はあるわけだけど、それでも撮りたい瞬間はある日ある時、突如として目の前に現れるわけで、その瞬間にカメラという道具を持っていることこそが何より重要なんだと。

当然、カメラを常に持ち歩くのは荷物にもなるし、いつも鞄の中に忍ばせておくのはジワリジワリと重さが肩にのしかかり、決してお気楽なわけではない。だからこそ、少しでも小さく、少しでも軽く、それでいてスマホでは撮れないクオリティのベストバランスなカメラを求めて機材に対する欲求は尽きない。けれど、それはカメラを集めたいんじゃなくて、いつもベストな状態でカメラを持ち歩きたいとのぞむ結果だから、常にスナップできる状態でいたい僕には、ちょっぴり夢を追いかけ続けてるようなワクワク感がある。

ちなみにきょうは撮れ高ゼロだったけど、カメラを持ち歩いていることで心はどこか満たされていたりする。撮らなくても満足できるカメラというのは、観賞用のカメラを言うんじゃなくて、このいつでも撮れる状態にあるカメラの価値を言うんじゃないかな。たしかに奥行きのあるスナップ写真を撮ろうと思えば、物理的にカメラやレンズが大振りになるところはある。けれど、その欲求と持ち出しやすいカメラがいいという欲求がぶつかりある感じがカメラ選びとして楽しいんだ。僕だけかなあ、いや、同じような思いでカメラを追いかけ続けてる人、けっこういると思うんだなあ。

デジカメで流れるようにシャッター切りまくるのも、スナップの醍醐味。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

もちろんフィルムでも流れるようにバンバン撮りまくっている人はいるんで、これは僕の主観でもあるんだけどね。というか僕の場合、フィルムカメラでもスナップはするけど、さすがに無尽蔵にシャッターを切るようなことはない。それはフィルムカメラの所作がゆっくりなこともあるけど、やっぱりフィルムはそれなりに貴重なんで、撮るリズムはデジカメに比べればずいぶんゆっくりだ。

そこからすると、デジカメはとにかく枚数のことは頭からハズすことができる。成功も失敗も含めて、とにかくスナップすることに集中し、何も気にせずひたすらシャッターを切ることができる。思えば、僕のスナップの始まりはRICOH GRとだった。GRの気持ちよさはなんといっても俊敏にスパンスパン撮ることができる自由さだと思う。あの自由さはフィルムカメラのそれとは少し違う。とにかくフィルム枚数のこと、フィルムチェンジのことは気にせず、電池がある限り無限感覚で撮り続けることができる。それはスナップシューターとしてはとんでもなく偉大なことかもしれない。

GRで始まった僕のデジカメスナップはその後、フィルムカメラを介してLeica M-P、FUJIFILM X-E2、Leica X2ときて、いまOLYMPUS PEN-Fに至っている。M-PとX-E2はオールドレンズをつけることが多いので50mm主体だけど、その他はGRが換算28mm、X2が換算36mm、PEN-Fが換算24mmとどれも広角寄りだ。このパンフォーカス気味で使える広角がまたスパンスパン撮るリズムを後押ししているところがある。僕は街中をフィルムでスナップすることもたまらなく好きだけど、この反射神経に委ねてバンバンと自由に撮れるデジカメスナップというのも相当正義だと思っている。センサーサイズなんか置いといて、とにかくお気に入りのデジカメ・スナップシューターを手に入れて、通勤途中や移動中の街を撮りまくってみないか。ひたすら自由に。

僕が選んだデジカメたちの話。

Olympus PEN-F

何を隠そう、実は僕はデジカメもけっこう所有している。いま手元にあるのは、RICOH GR、Nikon D300、Nikon Df、Leica M-P typ240、FUJIFILM X-E2、Leica X2、そして最近仲間入りしたOLYMPUS PEN-Fだ。こうして数えてみると7台もあったのかと少し驚いてるけど。

RICOH GR

もちろん所有台数でいえばフィルムカメラのほうが多い。それでもデジカメもけっこう数があるのは何もコレクションしているわけではなくて、実用するからある程度使い分けを想定して手に入れていて、しっかりフィルムカメラとデジカメを併用しているのである。

Nikon D300

ただ、傾向はあって、スナップ用カメラか、フィルムライクなカメラだということ。D300だけ少し異質かもしれないけど、単純に本格一眼レフ機で息子のスポーツ行事なんかを撮ることもあるから、それはそれで所有し続けている理由はあったりする。

Nikon Df

けれど、こうやって揃ったカメラたちを俯瞰で眺めてみると、まあメジャーなカメラは一台も持っていない。どこか本流からズレたカメラというか、一癖ある潔い方向性に振ったカメラが多い。あまり人が持っていないカメラ、ということになるんだろうか。やはりじぶんはひねくれてるなと思ったり。

Leica M-P typ240

それでもデジカメは僕のカメラ生活に無くてはならないモノへとしっかり定着した。ひと頃はカメラはGRだけだったんだけど、ある日フィルム一眼レフに出会って以来、「スナップ」と「フィルムライク」というじぶんの中の嗜好が見えてきて、そのモノサシにそったデジカメであれば積極的に使ってみようと思えるようになったのである。

FUJIFILM X-E2

ただ、そんなだから、デジカメの作法もちょっと普通とは違うかもしれない。ISO感度やホワイトバランスなんかは「オート」にはしておらず、一回一回持ち出すたびにフィルムカメラのように値をセットする。モニターもオフにしたり見なかったりでそこにデジカメの便利さはない。レンズもマニュアルフォーカスが多いから、そうだなあ、デジカメの恩恵としてはまさにフィルム代がかからないのと、現像に出さなくていいことということになる。

Leica X2

それでも高感度であることや、シャッタースピードが高速で切れることは物理的にもメリットで、それでスナップの幅が大きくひろがるということはある。実際にフィルム代や現像代がかからないから、日々の愛犬との散歩へ持ち出すのはもっぱらデジカメだし、アダプターを介してオールドレンズを楽しめるのもなかなか気に入っている。

OLYMPUS PEN-F

まあ、写真の雰囲気はフィルムのほうが豊かなんじゃないかとかいろいろ意見はあるだろうけど、いかなる時もシャッターが切れるというのはフィルムカメラやデジカメを問わない使い方のメリットだし、もしこれから先、仮にフィルムがこの世から無くなることがあっても、僕にはデジカメだってあるという安堵感はどこかある。理由をあえてあげればそんなことになるけど、単純に好きなんだよね、デジカメも。好きになったというのが正確かな。最初に書こうと思ったことと若干論点がズレてる気もしなくもないけど、まあつまりデジカメもいいよ、という話でした。

世の中の流れとちょっと違うミラーレス、PEN-Fという選択。〈レビュー〉

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

いまカメラの好きの人たちの中では空前のミラーレスブームである。先行していたフルサイズ機のSony α7系に続いて、ついに一眼レフ2強が追撃開始。Nikon Z7 & Z6、さらにCanonからはEOS Rも登場。そう、世の中はフルサイズミラーレスブームなのである。そんな最中にこんな行動をとる僕はつくづく時流に乗れていないと再認識するわけだけど、僕はめでたくマイクロフォーサーズのミラーレス機、Olympus PEN-Fを昨夜手に入れることとなる。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

布石はここニ、三週間かな。フィルムを現像しにいつものカメラのキタムラへ数回通うなかで、待ち時間になにげなく触った数台のうちのひとつがこのPEN-Fだったのである。このネーミングはさすがに僕も知っている。フィルム時代にハーフサイズの一眼レフカメラとして、その独特のデザインフォルムが神格化されたとも言っていい名機。それとまさに同じネーミングでこのミラーレス機は登場してきたわけである。

かつてのPENシリーズといえば伝説の設計者である米谷氏の存在が圧倒的で、僕もフィルムカメラのOM-1NとPEN EE-2を持っているから、そのカメラたちに込められた米谷氏の美学が尋常でないことは分かる。その意思を受け継いで、オリンパス80周年にあたる2016年に文字通り気合を入れて投入されたのが、このデジタル版 PEN-Fなのである。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital ED 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

そのオリンパスのクラフトマンシップは現代でも相当なもので、このPEN-Fのボディにはネジがまったく見当たらない。デザイナーが隠そうとしただけではなく、それを開発陣たちが本当に製造段階まで思想を持ち込んで実現してしまった。ダイヤル類なども削り出しの工芸品のような出来。僕はたまたまお店で触れた時にちょっと衝撃を受けたわけである。

正直、なぜ今までこのPEN-Fの存在に気がつかなかったんだろうと不思議に思ったくらい。けれど、それはもしかしたら必然でもあったのかもしれない。フィルムカメラで撮るようになって、この夏にOM-1NとPEN EE-2に出会うまではここまでオリンパス機を意識していなかったから。けれど、このオリンパス機たちの出会いは僕が想像する以上にセンセーショナルで、僕の深層心理の中に色濃くこのブランドの美学が宿り始めていたのかもしれない。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

最初にお店で触れた時にはそのデザインに釘付けになったのはもちろんだけど、シャッターを切った時の音とフィーリングにとても驚いた。え?、これはNikonやCanon、FUJIFILMなんかを凌ぐエモーショナルなものじゃないかとさえ思った。その新鮮な驚きが殻を破ったというか、僕はその後、現像でお店に寄るたびにこのPEN-Fを触ることになる。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

触れば触るほど惹かれていき、見た目では分からない性能をネットで調べ始める。なんと驚くことにその小さなフォルムの中にボディ内5軸手ブレ補正を内蔵している。そしてシャッタースピードは1/8000。だんだんとこのPEN-Fがとてもハイスペックなフラッグシップ機のひとつであることに気がつき始める。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

ボディカラーはかつてのPEN-Fを思わせるシルバーと、精悍なブラックがあったけど、僕は直感的にブラックボディに魅せられていた。デザイン的にもそうだけど、街中でスナップを撮るんでなるべく目立たず雑踏に紛れることのできるブラックボディは必須の“性能”であったりする。色選びは必然だった。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

そしてレンズ選び。お店のデモ機にはレンズキットである単焦点 M.Zuiko digital ED 12/2がついていた。35mm換算で焦点距離24mmの広角レンズだ。フィルムカメラでZuikoにはとんでもなく良いイメージしかなかったから、AFでも使える単焦点はひとつ持っておきたかった。オールドレンズ専用機にする手もあったけど、意を決してTwitterでカメラ界の大御所の赤城さんにアドバイスをお願いしたところ、このレンズは買いだとも分かり、一緒に購入することとなる。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

ここまで作例的に載せてきた写真たちはすべてこのレンズで撮ったものである。このPEN-FとM.Zuiko 12mmの組み合わせだけど、その撮影フィーリングは最高というほかない。シャッターフィール、そしてレンズのヘリコイド的タッチ、気持ちよく決まるオートフォーカス、軽量コンパクトな恩恵でもある使い良さは、ちょっと軽い衝撃なくらいスパンスパンとスナップを撮り続けることができる。僕的には圧巻だと感じた。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

一眼レフやレンジファインダー機を多用する僕にとって、マイクロフォーサーズ機は印象としてどこか本格的ではないライトなカメラと思っていたところがあるけど、きょうを境にそのあたりの先入観は完全に消え去った。このPEN-Fはとんでもなく玄人好みのカメラなのである。少なくともこれだけフィルムカメラを愛する僕がデジタル機として不満を感じないレベルは、僕が常用するM型デジタルライカとNikon Dfに匹敵するし、スナップシューターとしての身軽さで言えばPEN-Fが一躍トップに躍り出たといっていい。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

詳しい使い心地はこれからおいおいブログでふれていこうと思うけど、現時点で間違いなくいえるのは、このPEN-Fはスナップ好きな人にはイチ押しのカメラ性能であること、そしてプロダクト好きの人にとってもとんでもなく満足感の高い工芸品レベルの仕上げであるということ。言葉と写真だけで伝えるのは困難なくらい、手に触れた者だけに訴えてくるエモーショナルな性能の塊のようなカメラなので、ぜひ一度、お店でさわって想像力を掻き立ててほしいと思う。明日のじぶんの新しいカメラスタイルを思い浮かべて。