世の中の流れとちょっと違うミラーレス、PEN-Fという選択。〈レビュー〉

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

いまカメラの好きの人たちの中では空前のミラーレスブームである。先行していたフルサイズ機のSony α7系に続いて、ついに一眼レフ2強が追撃開始。Nikon Z7 & Z6、さらにCanonからはEOS Rも登場。そう、世の中はフルサイズミラーレスブームなのである。そんな最中にこんな行動をとる僕はつくづく時流に乗れていないと再認識するわけだけど、僕はめでたくマイクロフォーサーズのミラーレス機、Olympus PEN-Fを昨夜手に入れることとなる。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

布石はここニ、三週間かな。フィルムを現像しにいつものカメラのキタムラへ数回通うなかで、待ち時間になにげなく触った数台のうちのひとつがこのPEN-Fだったのである。このネーミングはさすがに僕も知っている。フィルム時代にハーフサイズの一眼レフカメラとして、その独特のデザインフォルムが神格化されたとも言っていい名機。それとまさに同じネーミングでこのミラーレス機は登場してきたわけである。

かつてのPENシリーズといえば伝説の設計者である米谷氏の存在が圧倒的で、僕もフィルムカメラのOM-1NとPEN EE-2を持っているから、そのカメラたちに込められた米谷氏の美学が尋常でないことは分かる。その意思を受け継いで、オリンパス80周年にあたる2016年に文字通り気合を入れて投入されたのが、このデジタル版 PEN-Fなのである。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital ED 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

そのオリンパスのクラフトマンシップは現代でも相当なもので、このPEN-Fのボディにはネジがまったく見当たらない。デザイナーが隠そうとしただけではなく、それを開発陣たちが本当に製造段階まで思想を持ち込んで実現してしまった。ダイヤル類なども削り出しの工芸品のような出来。僕はたまたまお店で触れた時にちょっと衝撃を受けたわけである。

正直、なぜ今までこのPEN-Fの存在に気がつかなかったんだろうと不思議に思ったくらい。けれど、それはもしかしたら必然でもあったのかもしれない。フィルムカメラで撮るようになって、この夏にOM-1NとPEN EE-2に出会うまではここまでオリンパス機を意識していなかったから。けれど、このオリンパス機たちの出会いは僕が想像する以上にセンセーショナルで、僕の深層心理の中に色濃くこのブランドの美学が宿り始めていたのかもしれない。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

最初にお店で触れた時にはそのデザインに釘付けになったのはもちろんだけど、シャッターを切った時の音とフィーリングにとても驚いた。え?、これはNikonやCanon、FUJIFILMなんかを凌ぐエモーショナルなものじゃないかとさえ思った。その新鮮な驚きが殻を破ったというか、僕はその後、現像でお店に寄るたびにこのPEN-Fを触ることになる。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

触れば触るほど惹かれていき、見た目では分からない性能をネットで調べ始める。なんと驚くことにその小さなフォルムの中にボディ内5軸手ブレ補正を内蔵している。そしてシャッタースピードは1/8000。だんだんとこのPEN-Fがとてもハイスペックなフラッグシップ機のひとつであることに気がつき始める。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

ボディカラーはかつてのPEN-Fを思わせるシルバーと、精悍なブラックがあったけど、僕は直感的にブラックボディに魅せられていた。デザイン的にもそうだけど、街中でスナップを撮るんでなるべく目立たず雑踏に紛れることのできるブラックボディは必須の“性能”であったりする。色選びは必然だった。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

そしてレンズ選び。お店のデモ機にはレンズキットである単焦点 M.Zuiko digital ED 12/2がついていた。35mm換算で焦点距離24mmの広角レンズだ。フィルムカメラでZuikoにはとんでもなく良いイメージしかなかったから、AFでも使える単焦点はひとつ持っておきたかった。オールドレンズ専用機にする手もあったけど、意を決してTwitterでカメラ界の大御所の赤城さんにアドバイスをお願いしたところ、このレンズは買いだとも分かり、一緒に購入することとなる。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

ここまで作例的に載せてきた写真たちはすべてこのレンズで撮ったものである。このPEN-FとM.Zuiko 12mmの組み合わせだけど、その撮影フィーリングは最高というほかない。シャッターフィール、そしてレンズのヘリコイド的タッチ、気持ちよく決まるオートフォーカス、軽量コンパクトな恩恵でもある使い良さは、ちょっと軽い衝撃なくらいスパンスパンとスナップを撮り続けることができる。僕的には圧巻だと感じた。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2
Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

一眼レフやレンジファインダー機を多用する僕にとって、マイクロフォーサーズ機は印象としてどこか本格的ではないライトなカメラと思っていたところがあるけど、きょうを境にそのあたりの先入観は完全に消え去った。このPEN-Fはとんでもなく玄人好みのカメラなのである。少なくともこれだけフィルムカメラを愛する僕がデジタル機として不満を感じないレベルは、僕が常用するM型デジタルライカとNikon Dfに匹敵するし、スナップシューターとしての身軽さで言えばPEN-Fが一躍トップに躍り出たといっていい。

Olympus PEN-F, M.Zuiko digital 12/2

詳しい使い心地はこれからおいおいブログでふれていこうと思うけど、現時点で間違いなくいえるのは、このPEN-Fはスナップ好きな人にはイチ押しのカメラ性能であること、そしてプロダクト好きの人にとってもとんでもなく満足感の高い工芸品レベルの仕上げであるということ。言葉と写真だけで伝えるのは困難なくらい、手に触れた者だけに訴えてくるエモーショナルな性能の塊のようなカメラなので、ぜひ一度、お店でさわって想像力を掻き立ててほしいと思う。明日のじぶんの新しいカメラスタイルを思い浮かべて。

高性能AF機としてより高速SS 1/8000機として持つ意味も大きい。Nikon F6

Nikon F6, 50/1.4D, Fujifilm 業務用100

僕の場合だと、高速シャッタースピード機はNikon F6になる。このボディに常用レンズとしてNikkor Ai AF 50/1.4Dをつけてることが多いわけだけど、これだけ明るいレンズになるとISO感度100のフィルムでも太陽の出た日中ではなかなか開放付近では撮れない。

機械式のフィルムカメラなら最高でもSS 1/1000までのものが多いし、ヴィンテージカメラとなるとSS 1/500や1/300のものも珍しくない。そうするとSSを最高にしたとしても絞りをf8からf16あたりまで絞らないと露出オーバーになってしまう。そういう事情もあって機械式だけどSS 1/4000まであるNikon FM2やFE2は人気があったりするんだよね。

極論を言えば、別に絞って撮るならSSは1/1000もあれば十分だけど、日がさす日中に明るいレンズの開放部分の癖を楽しもうと思ったり、ボケを大胆に楽しもうとすると、やがてシャッタースピードがもっと高速なボディが欲しくなる。僕の場合は理由はそれだけではなかったけど、シャッタースピードのことは相当意識してNikon F6を手に入れた。

Nikon F6はフィルム機とはいえ現行機でフラッグシップ機でもあるから中古ボディを選んだとしてもそこそこいい値段になってしまうんだけど、これがフラッグシップ機ではないAF機に目を向ければ、驚くほど手頃な価格でハイスピードなSSのカメラを手に入れることができる。中級機であっても1/8000や1/4000は当たり前にあったりする、実は狙い目のカメラたちが勢ぞろいしている。

AFで撮るのが嫌ならマニュアルで撮ればいいだけなんで、ある程度割り切って高速シャッタースピード機として一台持っておくのも手だと思うんだ。でもたぶんね、AF機の正確さや便利さにも気づかされることになって、フィルムをAF機でも楽しむようになると思うんだけどね笑。

Nikon F6, 50/1.4D

SS 1/4000とか1/8000の世界を手に入れると、どうかしたら冬の空なら開放付近でファインダーを向けることができる。僕は感度100で撮ることが多いけど、感度400を常用フィルムにしている人も多いと思うから、そうするとやはりシャッタースピードは高速であったほうが撮るシーンを選ばない。手頃な値段で新しい世界を手に入れるなら、レンズよりもボディのシャッタースピードに目を向けてみる。これは意外と写真にいちばん大事な要素だと思う。量だけはたくさん撮るスナッパーの一人の意見として^ ^。

デジタルこそマニュアルで撮ったほうがたのしい。

Leica M-P typ240, Industar-61 55/2.8

僕の場合、まず前提としてフィルムで撮るのがたのしい、ということがあるんだけどね。それは、いい意味で手がかかるということ。フィルムを選ぶたのしみ、フィルムを装填するプロセス、露出を決めるたのしみ、そしてフィルムを巻き戻し、現像する(僕はラボへ出すけど、その待つ間だってたのしい)たのしみ。できあがる写真の素晴らしさもだけど、フィルムカメラに魅せられる人々は、手のかかるプロセスをたのしんでるんだろうね。いつ故障するか分からない少し古いイタ車を可愛いがるような感じに近いかな。

それと比べると、デジカメは便利でランニングコストもそれほどかからないけど、手がかからな過ぎる。どうかしたらほぼフルオートで美しい写真が撮れてしまう。それはそれでいいことなんだけど、たのしいかといえば微妙かなと。瞬間を逃すことのできないプロカメラマンならともかく、割とゆっくり撮ることができるアマチュアカメラマンにとって、撮るという行為は何も急がないし、カメラをじぶんなりに攻略するのがたのしいんじゃなかったっけと。僕だけかな、こんな暇人めいたことを言ってるのは笑。

でも、ある時からデジカメをフィルムカメラ的に、つまり撮る所作というかプロセスをたのしむようになってから、僕の中のカメラとの向き合いが少し変わった。デジカメをもっと手のかかる子として扱ってみることで、デジカメの撮影プロセスにも味を見出すことができるようになったんだ。いちばん手っ取り早いのは、デジカメをマニュアルで撮ること。ラティチュードのひろいフィルムと比べるとデジカメは露出にかなり正確さを求められるけど、これもフィルムカメラを経た人であれば、ゲーム感覚くらいでけっこう無理なくたのしめるはず。絞り、シャッタースピード、ピント、感度、どれもフィルムカメラと同じ作法で撮れば、実はかなりおもしろいことに僕は気づけた。これは大きかったなあ。

まあデジカメはその時々の先進テクノロジーの塊だから、その恩恵を存分に生かして写真を撮ることは正しいし、それが価格に見合う価値でもあるわけだけど、試しに手持ちのデジカメをマニュアルで試してみてほしいなあ。意外とカメラの忘れていた本質的たのしみを感じとることができるかもしれないし、撮影する時間の流れ方が変わると思う。つまり、ちょっと人生の流れ方が変わる。僕はそう思う。

基本、何処へ行くにもカメラが一緒なんだよね。

Rolleiflex Standard, Tessar 75/3.5, Velvia100

僕はカメラが趣味ではあるけど、こと撮影するということに関していえば、それほどカメラに振り回されてはいない。要は撮影のために時間を割いているというよりは、じぶんの普通の生活行動にいつもカメラを持ち歩いてるというのが正直なところなんだ。もちろん、今日は撮ろう!と撮影目的で出かけることもあるけど、大抵はカメラは僕の同伴者みたいなもんなんだ。だから、撮る写真は自ずとごくごく普通のスナップ写真になる。散歩道の道端だったり、街中の片隅だったり。自慢できるような写真は一枚もないのが自慢だ笑。けれど、そんな無理しないカメラ生活がいいのか、まったくカメラに飽きないし、けっこうカメラやレンズはたくさんあるんだけど、常に使い回しできていたりする。そんな僕だから、同じような嗜好の人の写真に惹かれるのか、どうだ!みたいな絶景写真や、レタッチ追い込みました!みたいな写真には正直あまり引き込まれることはない。もっと普通で、でもその撮影者のふとした思いみたいなものが垣間見れる写真に惹かれる。こういうのは本気で写真やってます!みたいな人からはアレかもしれないけど、まあそれが僕とカメラのほどよい距離感だったりする。たぶん、仕事が何かしら企てることを良しとする世界だから、プライベートな時くらい一切企てとは無縁の、無心みたいなモノを欲するんじゃないかと思うけど、それも本当のところは僕にも分からない。そうだなあ、最初に何かを規定してカメラを動かしてるよりは、カメラを動かした結果、何かが浮かび上がったり形を成していくのを見てみたい、というのが近いかな。どうかな。おぼろげながらだけど、そんなことを考えながら、来る日も来る日も僕のいくところにはカメラが一緒についてくる。それが僕とカメラの関係性だ。

デジカメをマニュアルで撮って楽しもう、という話。

Nikon Df, 43-86/3.5

土曜日の朝、まだ台風らしい突風がおさまらず愛犬と散歩へ出かけられずにいるんで、もう一本ブログを書いておこかなと。今朝はそうだな、デジカメの話。というのも、昨日、職場に新しくやってきた若者とそんな話をしていたので。

その彼は、いまムクムクとフィルムカメラを始めたい熱があったまってきていて、聞くとNikon F3を検討しているという。これまではデジカメをやっていたというので、そのノリで絞り優先AEで撮れるF3はたしかにとっつきやすいかもしれない。だけど露出をゼロから学ぶなら機械式カメラでマニュアル撮影から始めたほうがいいのになあなどと思いながら、「デジカメは絞り優先とかで撮ってたの?」と聞くと、「いえ!マニュアルで撮ってました!」と。

え?マニュアルで撮ってたの?デジカメなのに?…えらい!と笑。僕なんかデジイチを始めた頃はもうほんと露出とそれを調節する絞りやシャッタースピードのことはあまり無頓着で、それでもなんとなくはまともに撮れるもんだから、もうほとんど絞り優先AEか各種撮影ポジション(予め用意されたスポーツシーンとか夕日とか夜景とかのアレです)で撮ってたんだよね。それがこの若者は、しっかり露出を楽しんでデジカメを使いこなしてたとは。だったらフィルムカメラは基礎から機械式カメラを使う必要もなくて、最初から名機Nikon F3でいいし、センスいい選択と思ったんだよね。

最近、ほんとフィルムカメラで撮る若い人たちのセンスの良さは素晴らしいなあと思っていて、それって何が作用してるのかなあと素朴に考えてたんだけど、あ、このマニュアル意識とか「あえて、手間やプロセスを楽しむマインド」かもと思ったんだよね。スマホカメラで撮ればいいところを現像が必要な写ルンですで撮ったり、フィルムカメラのチョイスだってNikon FM2やPentax SP、Olympus OM-1といった機械式カメラを好んでフィルムで撮る若者も多い。若い人たちの方が、今のミドル世代の人たちより、クラフトマインドが豊かなんじゃないかと、ふと思った。

僕はフィルムカメラで撮るようになって露出のおもしろさを知り、だったらそれはデジカメでも楽しめるんじゃないかと、一度はすべて手放していたデジカメを再び楽しむようになった。選んだのはマニュアルで撮ることを積極的に楽しみたくなるNikon DfやLeica M型デジタル。もちろん絞り優先AEで楽ちん撮影もできるけど、僕は割とマニュアルを楽しんでる。体感露出ゲームを楽しんでるようなところもあって、パッと目の前に現れた光景の露出を頭の中で考え、それで撮れた写真を見ては「お、ビンゴ!」とか「んー、まだまだだな僕は」とか露出の腕前を確かめたりしてる。

ハイテクでいろんな機能のあるデジカメをそんなフィルムカメラのようなシンプルな使い方で利用するのはもったいない?かもしれないけど、カメラに撮ってもらうんじゃなくて、カメラを操ってじぶんとカメラの共同作業で写真を撮るということでいえば、マニュアル撮影はやっぱりおもしろいし、デジカメでMFのオールドレンズを装着したり、マニュアルモードで撮影するのはなかなかクリエイティブで楽しいもんです。世の中はデジタル時代真っ盛りだし、コスト的にもフィルムよりデジタルで撮りたい人ならば、マニュアルモード撮影をしてみてはどうだろう。なかなか新鮮でカメラとの向き合い方が広がると思うなあ。

台風が過ぎ去るまで、おもちゃ箱のようなカメラの写真たちを眺めてる。

僕の部屋の愛しきカメラたち

なんだか毎週末が連休で、毎週末台風が来ているような気もするけど、まあこうして部屋で台風が過ぎ去るのを待つ間、カメラを眺めたり、過去の写真なんかを整理するのも悪くない。というか、僕の場合はカメラたちが子どもの頃のおもちゃのように好きなんで、むしろ撮影に出かけるのと同じくらい楽しかったりする。

最近は少し恥ずかしくてもはやカメラやレンズの所有台数を言うのもやめようと思ってるんだけど笑、わりとたくさんの機材たちが僕の部屋に所狭しと並んでいる。カメラは外へ持ち出して使ってやることが最大のメンテナンスだけど、なかなか使いきれない数にもなってきたんで、たまに部屋の中に数台を出して並べては、眺めたり、磨いたり、空シャッターを切ったりしている。それだけで楽しいんだ、とても。

男子たるもの、こういうメカものにはめっぽう弱い。ヴィンテージものも好きだし、そういうルーツに想いを馳せるのもまた楽しい。そういう意味では子どもの頃に遊んでたスーパーカーのミニカーのおもちゃなんかをガーッと部屋に広げて遊んでいるのと大して変わらない。成長していないなあとも思うけど、まあそんなことが日々のがんばるエネルギーになってるんで、家族にも許してもらおうと勝手に思ってる。さて、風が弱まったら愛犬とカメラと散歩へ行こうか。

僕が人生に全力でカメラをお勧めする理由。

RICOH 500 Deluxe, Rikenon 45/2.4

前提として、いま人生を謳歌しまくって満足しきっているという人には、それほど強くお勧めする必要はないかもしれない。でも、どちらかというとなんか毎日決まった生活動線の中を行き来するだけで、特に楽しいことも起こらないとか、なんか新しい刺激のあることを始めたいとは思うけど、何を始めていいのか分からないとか、そういうじぶんを停滞してる、漂流してるとか思う人にはうってつけの話かもしれない。そう、カメラと生きようという話である。

人生に刺激を与えることがカメラに限定されるのはいささか言い過ぎではないかとも言われそうだけど、実際カメラという道具は人生のあらゆるシーンにフィットしてくれる。例えば子どもの生まれたお父さんであれば子育てが忙しくて趣味どころじゃないかもしれないけど、カメラがあれば子どもの成長を撮るという、親として子どもにしてあげられる宝物を残しつつ、じぶんもカメラと遊んで過ごすことができる。お小遣いにうるさい奥さんだって、子どもの写真を撮るためのカメラを悪くは言わないだろう。

例えば、少し歩くのが億劫な通勤時間でも、カメラで移動の途中をスナップ撮影なんかして過ごせれば、朝、家を出て仕事へ出かけるのも「さて、きょうもスナップ撮影へ出かけるか!」みたいな、ちょっと遊び心を抱いて街中へと繰り出すことができる。例えば、疲れた週末も、家の中でじめっと過ごすんじゃなくて、風とか光とか季節の移り変わりを感じながら散歩カメラのひとつでも味わおうという行動力がどこからともなく湧いてきたりする。カメラの適応力というか包容力はとんでもなく高いんだ。人生のあらゆるシーンに見事なくらいフィットしてくれる。

こんな趣味と実益を絵に描いたように両立できる趣味なんてそう無いんじゃないか。いや、趣味とかいうレベルではないかもしれない。カメラは撮る時も楽しいけど、撮った後も写真の仕上がりを楽しむことができるし、できあがった写真はこうしてブログなんかにも利用できるし、プリントして誰かにプレゼントすることだってできる。撮る前だってそうか。機能美、造形美豊かなたくさんのカメラの中からじぶんにあった運命のカメラを探したり手入れしたりするのは至福だし、レンズという幾通りもの表情の変化を比べたり、極めたりすることができる。控えめにいっても、こんなに人生のあらゆるシーンを豊かに彩ってくれるモノを僕はほかに知らない。

デメリットはモノである以上、そこそこコストもかかるということ。カメラを買う資金がいるし、フィルムカメラならフィルム代や現像代、データ化代なんかがかかる。でも、それも車を趣味にしたり、稀少なコトを趣味にするのに比べれば、ずいぶん庶民的で現実的な価格で楽しむことができるはずだ。なにより、カメラなら車で言うところのF1カーのようなフラッグシップアイテムを素人愛好家でもどうかしたら入手できて、年に数回とかじゃなくて、毎日使って楽しむことができる。だって実用品だからね、そこは使ってナンボという日用品ですらあると思う。画像はスマホでも撮れるけど、思い出はカメラで撮るとやっぱり一味違ういい感じのワンシーンになるし、それなりにオート撮影もできるカメラならアマチュアでもけっこう自画自賛できる写真が撮れたりもする。もう僕に言わせれば、かけるコストを数倍上回るリターンが得られるのがカメラなのである。

あと、カメラがいいと思うのは、やはりクリエイティブなモノということ。写真は一枚として世界に同じものはない。撮る時間帯や場所、その日の季節や天候でオリジナリティのある人生の作品をこしらえることができるのである。そりゃ楽しいはずだと。だから僕はカメラというアイテムを全力でお勧めする。それも単に趣味としての時間限定の楽しみ方ではなく、人生すべてに関与する、人生全般を豊かにする装置としてのカメラをとにかく一人でも多くの人へお勧めする。だって、僕自身がそれを立証するかのように、カメラによって人生が豊かになったと実感する一人だから。高価なカメラなんて持つ必要は一切ない。飲み代何回分かを貯めたお金を握りしめて中古カメラ屋をのぞけば、そこがワンダーランドの入り口のようなドキドキ感を得ることができるんだ、

週末もよし、平日もよし。一人でもいいし、誰かと一緒でもいい。カメラならあらゆるシチュエーションにうまくはまってくれる。そんな妙に人生にフィットするカメラの意外なおもしろさを、少しでも多く人に感じてほしくて、きょうもまた懲りずにこうしてブログを書いている。カメラというものをそういう存在と考えたことがなかったという人がいたら、騙されたと思って一台のカメラを手に入れてほしい。できれば少々手のかかる古いフィルムカメラなんかがいい。使い方を調べたり、そのルーツを探ったり、とにかく手間のかかる子がいい。僕ら人間は、考えてみると簡単にできてしまうことより、少し手のかかるくらいのほうが達成感というご褒美が得られるんだ。どうだろう、少し人生にワクワクする感じが芽生えてきただろうか。カメラを持てば変わると思うなぁ、その昨日までのきょうが。これだけ何をやっても飽きやすかった僕がこれだけハマってるんだから、それはけっこう保証できると思う。さあ、できる範囲の軍資金の用意でいい。テレビやツイッターなんかで世の中に顔の見えない文句を言ってるくらいなら、カメラを持って外へ出かけようじゃないか。そして、難しいことを考えずに夢中でシャッターを切ろうじゃないか。そうすると、一枚や二枚、とんでもなく心が震える写真が撮れると思うよ。世界にたった一つしかない、とんでもなくクリエイティブなものが。

フィルム×望遠というのもなかなか興味深いと思う今日この頃。

Nikon F6, 70-300VR, Fujifilm 業務用100

分かるかなあ、真ん中に蝶が写ってるの。フィルム一眼レフ Nikon F6に望遠70-300VRをつけて息子の運動会を撮った日の帰り道に、残りフィルムで撮ったんだよね。

考えてみると、ふだんフィルムで撮る時はほぼ100% マニュアルフォーカスの単焦点レンズで撮ってるわけで、こうしてフィルムカメラに望遠レンズを装着するという発想があまりなかった。でも、このNikon F6ならデジイチと同じ感覚で現代のレンズたち(Gレンズまでで、最新Pレンズは無理だけど)を楽しめ、もちろん普通にこうして望遠レンズで撮影が可能なんだ。なに当たり前のこと言ってんだといわれそうだけど、僕はそんな発想だった。

Nikon F6, 70-300VR, Fujifilm 業務用100

やっぱり単焦点レンズとは違う表情が撮れるわけで、特にこうして大地を撮る、自然を撮るというシチュエーションには望遠レンズがあるとやさしい目線になれるなあと思う。少し自然や大地に気を遣って、遠目から控えめに撮る感じといえばいいだろうか。

Nikon F6, 70-300VR, Fujifilm 業務用100
Nikon F6, 70-300VR, Fujifilm 業務用100

僕は街撮りスナップが好きだけど、それと同じくらいこうして何気ない自然な姿を撮るのも好きだ。街中の雑踏の中で速写するあの慌ただしさみたいなのとは違って、風の音なんかを感じながら静かに厳かにシュートする感覚。これはいかにも一眼レフが似合うし、それがフィルムであればまたデジイチとは違う、ノスタルジックな質感も楽しむことができる。

Nikon F6, 70-300VR, Fujifilm 業務用100
手前 Nikon F6, 70-300VR, 奥 Nikon D300, 18-200VRIi

たまたま写真整理をしていたら最初の一枚の蝶の写真を見つけたんで、ちょっとその日の感覚を思い出しながら書いてみた。きょうはまだ月曜日なわけだけど、あー阿蘇とか湯布院へフィルム一眼レフと望遠レンズを持って撮りに行きたいな。無性に行きたい。幸福なことだ。

そこはやっぱり、安いカメラやレンズで高いカメラの写真たちを凌駕したほうがカッコいいじゃん。

Konica FS, Hexanon 52/1.8

そこはまあ誤解のないように言っておくと、それなりに高い価格のカメラやレンズは当然それなりに良いモノであるという前提なんだけどね。でも、なんというか、弱いと思われてるモノが強いと思われてるモノを打ち負かす感じって理屈抜きに気持ちいいじゃん!と。カメラやレンズもできればそうありたいとか思うんだよね、男子たるもの笑。

例えばこのKonica FS。先日、銀座レモン社で購入したものだけど、レンズもついて1万円を少し超えるくらいの値段しかしない。ライカならどんなに安くてもバルナックのボディで3万円、エルマーのレンズが4万円ほどするかな、Konica FSが五、六個買えてしまう。じゃあ、Konica FSの写りがバルナックライカの1/5くらいの質しか得られないかといえばそんなことはないわけで、写真の出来上がりの差に比べて機材の差はそれほどないことが分かる。じゃあ、やってやろうじゃないか、打倒ライカ!とか僕は思ったりするのである。いや、僕はライカユーザーでもあるから、この場合の打倒ライカ!は、じぶんの所有するカメラ間の競争だったりするんだけどね。

レンズだって、僕は安いレンズも好んで探して使う。ロシアンレンズのJupiter-8やIndustar-61、あとCarl Zeiss Jena MC Pancolar 50/1.8とかね。このあたりはどれも1万円以内か少し超えるくらいの値段で手に入る。世の中には名玉と呼ばれる高価なオールドレンズや最新の現行レンズがあるわけだけど、財布の懐事情以上に、こういう言わば劣勢なレンズで最新のレンズの写りを凌駕したら、こんな気持ちのいいことはないんじゃないだろうか。僕はそれらのオールドレンズの味もさることながら、こういう反逆精神みたいなものを常に心のどこかに思い描いて機材を選んでいるところがあると思う。

だからといって、それを誰かに声高にアピールするわけでもないんだけど、まあじぶんとの闘いみたいなね笑。世間の評判に流されないように、じぶんがいいとかカッコいいと思うモノサシを持って生きていたいと思うんだな。僕らの世代の人たちは少なからずそういう価値観があるように思うけど、どうだろう。考えてみると、フィルムカメラで撮るということ全般についても言えるかな。世の中の最新テクノロジーで作られたカメラやレンズより、ある意味時代遅れとも言えるフィルムやフィルムカメラで撮る快楽。そこには、単に古き良き時代を礼賛するだけじゃなくて、誰が見でも一見劣るであろう性能の道具で強者を打ち負かすヴィンテージフリークたちの軽やかな反抗心みたいなものもきっとあると思うな。

まあ本題である写真の良し悪しを置いといて機材の話だけに終始しちゃったけど、道具選びというのはそういう心の高ぶりにも大きく影響を与えることができるモノということで、少しふれてみた。とはいえ、単に反骨精神だけじゃなくて、僕が最近手に入れたカメラたちは軒並み素晴らしい写りを披露してくれている。Kodak Retina、Voigtlander Bessa-L、Olympus OM-1に、PEN ER-2。いやあ、面白いくらい大物食いができるようないい写りを僕らに提供してくれる。これもまた、過去の偉大な開発者たちの反骨精神というか意地が混じり合ったおかげなんじゃないかと思ってる。さあ、カメラを持って世の中をひっくり返しに行こう。高額なカメラたちを心の中で驚嘆させるために。

ハーフサイズカメラを持って街を駆けぬけよう。PEN EE-2のすすめ。

Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100

土曜日の朝、台風の前兆かもうパラパラと雨が降り始めてるんで、いTunesのユーミンを聴きながらブログを書き始めたところ。ここ最近ちょっとカメラが増え気味で毎週試し撮り〜現像を繰り返してるんだけど、きょうはハーフサイズカメラ PEN EE-2の話。

Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5

ちょっと脇に比較する大きさのものがないんで伝えづらいけど、このPEN EE-2、僕が持っているカメラの中でもいちばん軽い部類になる。いちばん小さく軽いのはRollei35だけど、その次にコンパクトなんじゃないかな。Konica C35よりは小さいと思う。もうそれだけで独特の存在感を放つ。

Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100

で、独特なのは撮れる写真も。ハーフサイズだから、普通の35mmカラーネガをこんな風に「2コマ1フレーム」で撮れる。36枚撮りフィルムなら合計72枚の写真が撮れるわけだけど、僕は今のところ、この2コマ1フレームのハーフサイズカメラ独特の仕上がりが気に入っている。

Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100

前回の初現像でこの独特の2コマ1フレームを見た時に軽い衝撃を受けて、今回は2枚が同居することを少し意識しながら撮ってみた。といっても夢中で撮ってると二枚一組の写真の組み合わせを覚えたりはしていないから、一枚ごとに強弱をつけて撮っているというのが近いかな。近くと遠くとか、地面と空とか、明るい所と暗い所とか。

Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100

まあでもどうだろう、ハーフサイズと聞くとなんだか写りはフルサイズに劣るイメージがあったけど、こうして現像あがりを見てみると、なかなか精巧な写りをする。Zuikoレンズはダテじゃないなあとしみじみ思う。このZuikoレンズは一眼レフのOlympus OM-1Nにも50/1.4がついてるんだけど、やっぱりなかなかの味のある描写をしてくれる。

Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100

しかもこれ、シャッター押すだけなんだよね。露出合わせしなくていいだけじゃなくて、ピントすら合わせる必要がない。まさに写ルンです的楽チンさ。だから、撮影は画角に集中できるというか、街をフレーミングしながら歩く楽しみがあると思うんだ。

Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100

今回は2回目の撮影でもあったから、だんだんとPEN EE-2で撮るリズムやコツみたいなものも掴めてきて、初回の試し撮りは実にヒュンヒュンと気持ちよく撮れた気がする。こうなると意外と72枚なんてあっという間に撮れてしまう。あ、僕だけかな、そんなにシャッター切れちゃうのは笑。

Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100
Olympus PEN EE-2, Zuiko 28/3.5, Fujifilm 業務用100

もちろんトリミングすればこうして一枚ずつの写真として楽しむこともできる。ちなみに僕が現像してるカメラのキタムラさんであれば、インデックスが出ない以外はなんら普通のカラーネガと同じ要領で現像とスキャニングが頼める。

このPEN EE-2はシンプルであることが真骨頂。だから、いわゆる一眼レフなど本格的カメラのようにシャッターフィーリングやファインダーの美しさが特段あるわけではないけど、その分、とにかく驚くほど軽快にスナップを撮り続けることができる。レンズは優秀だし、秀逸なボディデザインもきっと街中では絵になる。まるで雑誌の見開き撮影を楽しむかのように、街中を72枚駆け抜けるスナップ。僕は全力でおすすめするけど、どうだろう。