38mmの世界は絶妙なのかもしれない。

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僕のここ最近の街撮りスナップはほぼすべてフィルムコンパクトのKonica C35で撮ったものである。このカメラに付いている一体型レンズは38mm/f2.8のテッサー型レンズ・ヘキサノン。僕には初めての38mmという世界の画角。ずっと28mmのRICOH GRで撮り続けてきた僕には少し広いけど、一眼レフやライカで撮る50mmよりは狭く、最初は38mmと聞いた時はなにかピンとこなかった。一般的に馴染みがあるのは35mmだし、なにより38mmって数字の響きからも実に中途半端じゃないかと思った。でもC35で2ヶ月半ほど撮り続けて思うのは、実はスナップにはなかなかいい画角なんじゃないかと。凝視した時の画角と言われる50mm、見たままの世界と言われる35mmの中間に位置するその世界は、中途半端というよりは両者の間のよさが交錯した”絶妙”なんだと。

そもそも50mmとか35mmは数字の世界ではキリのいい数字だけど、それは数字上の話であって、にんげんの視界の世界には数字のキリの良さは関係ない。数字のキリの良さより、気持ちのいい画角を導き出してそれをたまたま計ったら38mmだったんじゃないか、そんな気持ちよさがこの38mmにはある。狭くもなく、かといって視界の外側が写り込みすぎるものでもない。まさに絶妙の範囲が写り込んでくれるのだ。この頃の時代のフィルムコンパクトには38mmのものがけっこう多い。それはたぶん偶然ではなくて、38mmが当時の大衆的カメラとしては最も使い勝手のいい、世の中のニーズの集大成的サイズだったのだろうと思う。

というのも、このKonica C35というカメラは誰もが簡単に撮れるために発売されたもの。つまり、ファミリーカメラ。きっと家族の写真を撮られることが最大のセールスポイントだったんだろうと思う。家族の写真って、撮る側からするとついつい表情のアップとか撮りたくなるわけだけど、撮られる側にしてみると、後からその写真を振り返った時にアップよりはむしろ周囲が写り込んでいたほうが、その時の情景や気分を思い出すのにもきっと感慨深い。38mmとは人の表情はもちろん、その周囲のシチュエーションが最もバランスよく写り込んでくれるサイズだったんじゃないかと思う。まさにジャストサイズであって、その究極のサイズゆえに、こうして普通に街並みを撮っても実に絶妙な範囲を切り取ってくれる。にんげんらしい画角というか、街を生きもののように撮れる画角だ。その画角を体験するためだけにフィルムコンパクトを購入するのもアリとさえ思える。さて、あなたにとって気持ちいい画角とは何ミリだろうか。もし38mmが未体験だとしたら、一度その”絶妙”を体験してみる価値は十分にあると思うよ。

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