NikonとNIKKOR

遠出の相棒はスペシャライズドのエンデュランスロードにした。

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自転車を持っていたら一眼レフと出かけたい、そんな秋晴れの日、僕はその相棒探しに自転車屋に行ってきた。もともとはトレックというブランドのクロスバイクFXを買おうかと思い始めたのが発端だったけど、お店に向かうと決めた時点でどこかロードバイクを、それも割と高額のものを買うんだろうな、というじぶんがいた気がする。いや、いた、間違いなく。それにはやっぱり一眼レフを買い直した経験がすごく関係している。

僕が一眼レフを初めて購入したのは1月。少しだけ下調べはしたものの、なんといっても初心者だしまずはエントリーモデルともいえるAPS-C機で十分だろうと思いNikonのD5300を購入した。この時一緒に単焦点50mm/f1.8を購入したこともあって、実際このD5300と始めた一眼レフライフはものすごく楽しかった。ファインダーをのぞく静寂やNikonの硬質なシャッター音に惚れたのもこのD5300との出会いのおかげだ。

でも、逆に一眼レフに急速にハマりすぎたこともあってか、やっぱり見てみたくなるんだな、その先にあるもっとクオリティの高い世界を。フルサイズの世界が無性に見たくなる、感じたくなる、その感情がもはや止められなくなる。

そんな時にレンズにゴミがついたD5300をカメラ屋へ修理に持って行くことに。手元に帰ってくるまでに二週間ほどかかりそうと。二週間も一眼レフがない時間を過ごせるのか、などと自問自答していたら、お店を出る時にはフルサイズD750を買っていた。修理に出した代わりにというのは、まあ言い訳で、僕はやっぱりフルサイズが今すぐ欲しかったんだと思う。それくらいNikonというカメラはプロダクトクオリティへの追求の醍醐味みたいなものを教えてくれた。そして、四ヶ月も待たずして手に入れたフルサイズD750は想像通り、いや想像以上のクオリティを僕に体験させてくれている。職人的プロダクトの世界は、いいものは、やはりいいと。

ロードバイク専門ショップをのぞいた僕にはそういうプロダクトの選択眼のようなものがあった。店員さんも僕のそういう気配みたいなものを感じたのか、初心者だと最初に伝えたのだけど、もう最初から直球でいいものを勧めてきた。フルカーボン、コンポは105、そしてブランドはスペシャライズド。

スペシャライズドは米国のブランドで、僕が最初に欲しいと思ったトレックとスペシャライズドそしてアルミフレームで有名なキャノンデールの三社はアメリカのロードバイク御三家と言われるらしい。でも、僕はレースに出るというより、もう少し快適に長い距離を走る感覚でロードバイクと向き合いたかった。そうすると、ボディの硬いアルミより、衝撃を吸収しやすいカーボンが本命になる。あとはコンポーネントを105にするかどうか。ここは拡張性の問題で、やがてロードレーサーをいろいろいじることになる時に105を選んでおくことが生きてくる感じか。初心者だからもっと全然コスパのいいグレードのロードバイクも目に入ったけど、最後は割とじぶんでも驚くくらい、フルカーボンのコンボ105をチョイスした。スペシャライズド。僕も店員さんもなにかすごく納得してる感じが、プロダクト選びの真髄みたいなものを物語ってた気がする。決心してから写真のフィッティングスペースに移動してじぶんのからだの各種サイズをとる。この空間がまた道具感にあふれていてちょっとシビれたな。フィッティングという儀式自体もなんというか心地よい緊張感があって気持ち持ってかれた。ここから工場で組み立てられて二週間後に完成車がやってくることになる。初心者に小一時間ほど丁寧に付き合ってくれたショップの店員さんにはありがとうと言いたい。おかげでいろんなことを学びながら納得ゆくモノ選びができたと思う。

もし僕が一眼レフの時の経験がなかったとしたら、ロードレーサーもほんとにいちばん価格の安いビギナー向けグレードを選んでたと思う。そうして、そのレーサーを乗り倒して上位機種にステップアップするという手もあるわけだけど、僕は最初からステップアップするであろう時のいくぶん身の丈にあわない上位機種を選んだ。結果、このほうが僕にはコスパもいいと思う。だから浪費とは思っていない。奥さんへの言い訳はまだ見つかっていないが、煙草をやめたお金で自転車をチョイスしたと言えば少しは共感してくれるのではと思っている。これは実際ほんとうの話でもあるから。

もし、これからロードレーサーの購入を考えている人がいたら、少し参考になる店員さんの話を。例えば車であれば高級車であったとしてもその車を走らせるの動力はエンジンであり、直接ドライバーが走りのパワーを左右するものではないが、自転車、それもロードレーサーはまさに運転する人間が動力であり直接的かつダイナミックにそのプロダクトの精巧さや品質と向き合い、対話することになる。つまり、車などとは比較にならないくらい「いい材料、いい値段のモノのほうが走りのよさや気持ちよさにモロに直結する」と。これはたしかに説得力のある言葉だなと思った。その時、ちょっといいモノに乗っている時の風みたいなイメージが頭の中をよぎったから。上を見ればキリがないけど、でもやがて向上してゆくじぶんを思い描きながら長く付き合えるいいモノを選ぶという行為は、今の僕はすごくいいなと思っている。誰かの参考になれば嬉しいけど。で、僕は、相棒が手元に来るまでの二週間が長くもありいちばん楽しい時間なんだろうなと思ったりしている。

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