Leica M3

色だけでも記憶しておきたいと思える季節。

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何か形を撮ろうということではなく、直感的に「その目の前の色を撮りたい」と思うことがある。それが、ちょうど今の時期の生命力あふれる初夏の色だ。秋もまた見とれるほど美しいけど、心が踊るような目の奪われ方をするのは、やっぱり新緑がまぶしいこの季節ならではのものだろう。

僕にとっては、この季節の色に魅せられるもうひとつの理由がある。それは、カラーフィルムで撮り始めたから、ということ。新年からしばらくRICOH GRでモノクロの写真ばかりを撮ってきた。それが、ある日フィルムに惹かれ、今は練習も兼ねてFUJI FILM業務用100というカラーフィルムで辺りを取り続けていて、この春はまさにカラーで大地や街をファインダー越しに見続けている。そうすると、あらためてこの星の光と影、そして四季のゆらぎが創り出す色とはたまらなく美しいなと感じるのである。もちろん、ファインダー越しではなくても人々はこの季節の美しさに心踊り、街のあちこちに躍動感のある空気をもたらす。でも、ファインダー越しの世界はさらにその美しさを増幅させる何かがある。

写真は目の前の出来事を残したくて撮る。それは人であり、その時期ならではの花であり、祭りであり、事件であるかもしれないけど、「色」もまた主役になるにふさわしい、思わず写真に残したい出来事のひとつなんじゃないかと思う。この写真を撮った日のことを思い出すと、ふと頭上を見上げた時に、この木を撮りたいというのではなくて、この色を残しておきたいと思ったことを鮮明に覚えている。風景写真でもない、スナップでもない、僕の中では「色の写真」というジャンルなのである。

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