Leica M-P typ240

平日カメラと週末カメラ。

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Leica M-P typ240, Elmar 50/3.5 Red Scale

長かったような短かったような一週間が過ぎ去り、また週末を迎えようとしている。ちょうど一週間前にマイクロフォーサーズのミラーレスOlympus PEN-Fを手に入れ、土日から平日まではPEN-Fの試し撮りに集中した一週間でもあった。とにかく軽量コンパクトで平日の仕事鞄とは抜群に相性の良かったPEN-F。僕の中ではさしずめ「平日カメラ」ということになる。

実際、僕は毎日なにかしらのカメラをほぼ必ず持ち歩いているけど、平日の仕事鞄の中に忍ばせておくカメラは、過去もコンパクトなもの揃い。RICOH GRに始まり、Konica C35、Rollei35、Leica X2あたりが定番の「平日カメラ」だった。そこに加わったPEN-Fだけど、PEN-Fは単にコンパクトと呼ぶにはちょっと割り切り過ぎで、このカメラはレンズ交換式ということもあり、十分に本格的カメラとも言える。そのフルサイズでもないコンパクトでもない絶妙のバランスがPEN-Fに惹かれた理由でもある。

けれど、こうして平日5日感をコンパクトなカメラと速写街撮りして過ごすと、金曜日にはそろそろ手にずっしりとくる大ぶりなカメラで、ゆっくりじっくり撮りたいとも思い始める。僕の場合だと、それはNikon DfやLeica M-P typ240、フィルム機ならOlympus OM-1Nといった一眼レフやLeica M3、Rolleiflex Standardということになる。つまり、ファインダーの中の濃密な世界を、時間を気にせず堪能するための「週末カメラ」。街撮りスナップとは違う写欲がふつふつと湧いてくるカメラたちだ。

この「平日カメラ」と「週末カメラ」。その区別を厳密にしているわけではないんだけど、いつのまにかそういう使い分けが身についてきた。平日のスナップがスピード&コンパクトとするなら、週末のスナップはスロー&ヒーリング、そんな感じだろうか。平日と週末は時間の流れ方が変わるから、その時間と空間を切り取るカメラもおのずと変わる。このオンとオフを切り替える感じも、カメラと向き合う上でいつも新鮮でいられる切り替えスイッチのようで、じぶんでは気に入っている。

というわけで、明日の週末カメラを吟味中なんだけど、まずは朝の愛犬との散歩はLeica M-P typ240かな。レンズはいつもの50mm。エルマーもいいし、ズミクロン 、ズミルックスでもいい。最終的にレンズを決めるのは朝のその時の気分次第で。朝陽の出具合にもよるかな。太陽光があれば、光をすくい取るズミルックスがおもしろいし、少し曇り空なら引き締まった描写をたのしめるズミクロンやエルマーがいい。M型ライカとの濃厚な時間は僕にとっては癒しでもあり、ファインダーの中を流れる静かな時間を思い浮かべるだけで心は解放されてゆく。

一眼レフのNikon Dfもそんな立ち位置だ。軍艦部にアール・デコ的にレイアウトされた各種ダイヤルをカチカチ動かしながら一枚一枚をゆっくり撮る行為は、平日の慌ただしさから解き放たれた自由さみたいなものを堪能することができる。フィルムカメラでもっとリズムをスローにしてもいい。Konica FSやPentax SP、Nikon F2なんかにフィルムを入れて、少しオーバーアクションとなる一眼レフのシャッター巻き上げやシャッター音を楽しむのもまた至福の時間だ。

少し遠出して、ふだん見慣れぬ風景を撮りに出かけるのもいい。そんな時に持ち出すカメラを選ぶ行為もまた明日心踊る。そう考えると、僕はカメラたちに実にありがたい新鮮なひとときを提供してもらっている。「平日カメラ」は街を泳ぐように撮り、「週末カメラ」は自然とたわむれるように撮る。僕にはその双方のカメラとの向き合いが、心のバランスをとるという意味でも実に心地いい。何を撮るかも大事だけど、僕は何で撮るかも大事な要素。カメラとは単に記録装置じゃなくて、記憶を共にする相棒なんだ。ひと眠りしたら、週末の朝がやってくる。さて、どのカメラと散歩へ出かけようか。小さな出来事ではあるけど、僕の人生にとっては計り知れないくらい大きな要素でもあるんだ。

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