別れが寂しくないのは、始まりだからだ。

Ricoh GR

長年僕らの領域を支えてくれた先輩が少し遠くへ転勤する。本日が最終出社日、午後に二人っきりでお茶をして積もる話を時間の許す限りした。僕も過去に転勤し、その良さみたいなものは分かっているから必要以上に悲しいわけじゃなかったけど、常に迷った時に頼りにしてきた先輩が明日からいないと思うと、和やかに談笑しつつもどこか不安な感覚が抜けなかった。

夕方になりいよいよ別れがやってくる。先輩はどこまでも頼もしく、最後まで終始余裕のあるいつもの先輩の姿を僕らに見せてくれた。最後に笑顔だ「じゃあ」と声をかけられた時に、僕らはバトンを受け取った気がした。次の時代を後輩たちに継承しろよというバトン。

世の中はベンチャーやフリースタイルの仕事が勢いあるように言われ、しばし組織みたいなものはトラディショナルに見られたりする。でも僕は近ごろ組織のダイナミズムというものにすごく可能性を感じているし、こうして仕事人としての振る舞いが後輩たちへと文化として継承されてゆくようすがとても大事だなと思っている。

先輩を敬い、その姿に背筋がピンとのびる企業文化であり空気。そういうものは数十年かけて磨かれて強くなる。誰も口に出しては言わないけど、誰もが継承しようと考えるそんな空気。先輩は別れじゃなくて始まりのバトンを置いていった。かつて、先輩の先輩たちがそうしたように。

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