ライカM3とは、

Leica M3, Summicron 50 1st

僕ごときがライカのしかもM3を語る資格も力量もないけど、あらためて少し書いてみようと思った。というのも、今朝Twitterで「こんどのM10-Dには巻き上げレバーがついているらしい」という記事を見かけたからだ。

現代も脈々と受け継がれるM型ライカの元祖、M3。その造りはすべてにおいて驚嘆のレベルだ。その前までのモデル、バルナックライカも素晴らしいが、そこからさらに圧倒的進化をとげて現代のカメラの普遍的なスタイルを世の中に強烈に打ち込んだのは、間違いなくこのM3であり、フィルムカメラでおなじみのあの巻き上げレバーもM3が発明した。

のぞいた瞬間にその美しさに誰もがハッとするであろうファインダーや、かすかな音で囁くようにそっと景色を切り取るシャッター音も素晴らしいが、この世界初の巻き上げレバーの感触もとんでもなく素晴らしい。僕のM3は初期型のダブルストロークだが、精密機械の緻密さながら、あのなんとも言えない人間味のあるニュリュリとしたレバーの手ごたえは、僕が触ってきたカメラの中では間違いなく他を圧倒的に引き離したナンバーワンだ。M3に触れた人の多くが、実は最も心打たれて購入する理由はあの巻き上げレバーの感触が実は筆頭なんじゃないかとさえ思う。それくらい、M3がタダモノではないことを物語る凄さがあるのである。

こんどのM10-Pはデジタルでありながら、背面モニターを排するだけじゃなく、この巻き上げレバーを復活させるのだとしたら、あのM3の巻き上げレバーの「感触」までも復活するのかと、ふと興奮したのである。M型デジタルがいくら進化したとしても、それは性能面の話であってさすがに感触はハイテク時代らしいソリッドなものであると思ってるんだけど、もしそのデジタル機にあのエモーショナルの塊のような巻き上げレバーの感触が戻ってくるとしたら、これこそアナログとデジタルのハイブリッドであって、撮る歓びが間違いなく異次元へとシフトする。そんな言いようのない興奮を僕は感じたのである。

ライカというブランドは凄いことしてくるなと。ライカという企業がクレイジーで凄いのか、それともポルシェ911と同じで、あまりにも初代の完成度が究極すぎて、それを超えられない呪縛に苛まれ続けている結果なのか、それは分からない。けれど、M型フィルムライカをやってきた人間であれば、どんなセールストークよりも巻き上げレバーが復活することの意味は計り知れないだろう。

ライカでいうM3とは、ポルシェでいう911。僕はBMW乗りなんでポルシェのことは分からないが、空冷ポルシェ時代のあの何者にも超えられない孤高の凄みは分かる。ライカがフィルムライクに撮りたいファンたちへ送り出すモデルに巻き上げレバーを復活させようとしているなら、それは一目おかざるを得ない。デジタル時代に機能的には必要のない巻き上げレバーを復活させてきたライカ、果たしてその役割はどういう意味を持たせてくるのか。そして、その感触はあの時代の必要とされた機能美の結果と比べてどうチューニングされてくるのか。そこに、ライカの本気度を確かめる目を持って、その登場を楽しみに待ってみたいと思う。ライカM3とは、という話ではなくなった気もするけど、最新のライカを考えることは、ライカM3を考えることなのである。

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