フィルムの不安定さに人は惹かれる。人間らしさという点において。

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Nikon F2, Auto50/1.4, Fuji業務用100

精巧で整った写真を撮る、もしくは頭の中にイメージした絵に近い写真を撮る、その信頼性においてはデジカメで撮るほうが優れているのだろうし、何よりスピーディだ。でも、人はフィルムに惹かれる。デジカメで撮る人の多くもどこか心の奥底でフィルム写真へのオマージュみたいなものを感じる。そこにはたぶん、想像通りにいかない不安定さみたいなものを感じ、そのアンコートロラブルな世界にどこか惹かれまくるんじゃないだろうか。僕はそうだ。色も、光の現れ方も、周辺減光も、ピントも、すべては現像があがってくるまでわからない。頭では仕上がりを想像して撮るものの、そんなものは人間を相手にしているようでまるで反応は予測できない。ちっとも思い通りにならない恋愛みたいなものと同じだろうか。被写体の動きさえも思い通りにいかないのに、その写りまでも思い通りにならない、このフィルムの世界。正確さと信頼性が求められるこの時代にあって、すごいことだよね。人はバランスのとれたものに安心するけど、無性に惹かれるのはアンバランスなもののほう。どっちがいいのか。どちらかでないといけないのか。どっちも持ち備えるのがいいのか。答えの出ない人生の難題である。

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