カメラの歴史を見てきた人と話をするのは、とてもとても楽しい。

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そのお店は同じ職場のライカ先輩に教えてもらった中古カメラ店で、初めて訪れた場所だった。なんでもその土地ではカメラファンたちにはおなじみのお店で、昔はおじいちゃんが店番をしていたけど、今は息子さんが後を継いで経営しているらしかった。教えてもらった場所を少し歩くと、そのお店はあった。決して綺麗な佇まいではないけど、外から見てもいかにも老舗の中古カメラ店らしいレトロな雰囲気をプンプン放っている。最初はショーウィンドウに飾られた商品たちを遠目に眺めていた。すると、しばらくして僕に気がついた店長が声をかけてくる。「何かお探しですか?」。僕は少し照れくさく会話を始める。「いえ、会社の先輩にこのお店のことを教えてもらい、のぞきに来ました」。すると店長は「うちはデジタルはほぼありません。フィルムばかりでして。」と気さくに話しかけてくれた。それで僕もどこかリラックスした気持ちになり、少し会話を続けてみた。「いえ、フィルムカメラを見に来たんです。実は以前はNikon D750を使っていたのですが、レンズとともに手放しまして、今はデジタルはGRだけ手元に残し、最近フィルムカメラを始めたんです。Leica M3、Nikon FE、Konica C35で写真を撮っています」と話すと、店長はにっこりして「それはまたレアなところに行きましたね笑」と返してくる。続けて言う。「でも、いいところを選ばれてますね。その3つのカメラはぜんぶ全然性格が違う。素敵なラインナップですよ」と言ってくれる。それから、じばらく会話は続く。

店長「いま見られているContax T2なんかも昔はもっと安かったんですが、今では倍近い高値になりました。でも、電子回路が壊れるとなかなか使い続けるのは難しい。その点、お持ちになってるKonica C35は作りもシンプルで修理もしやすい。しかも写りは素晴らしいものがあります。当時のコニカはフジなんか比べものにならないくらい上を行ってました。小西六というブランドがこだわりの末にコニカとサクラカラーとそれぞれ細分化して枝分かれしていったらしいのですが、それが契機でもしかしたら長続きしなかったのかもしれません。C35が出た頃はまさにコニカのピークのクオリティで、レンズもボディも文句なしの品質です」。ユーザーとしてはなんとも嬉しい言葉をかけてもらう。

店長「Nikon FEもいいですね。FM2と迷われたとのことですが、撮っていると時として絞りやシャッタースピードをマニュアルでセットするのが面倒な時があって、絞り優先で楽に撮りたい時がやっぱりあるんですよね。私でもFEやFE2をお勧めしますね。」。お世辞にしても、とにかく使い手の気持ちに立った言葉で、楽しい会話が続く。

僕がリコー・オートハーフを眺めていると、店長「オートハーフもまたいいカメラです。ハーフをコレクションしていくのも楽しいんです」とか「Nikomat ELは、NikonがFEやFMなど当時としては軽いカメラを作った時に、でも昔からの大きくがっちりとしたNikon機を求める人のために作られたと言われています」とか、思わず感心せずにはいられない話をいろいろ教えてくれる。

おもむろに僕は店の入り口で見かけたNikonの望遠レンズのことを尋ねる。「この少しレトロなAFレンズ、僕のFEに使えますか?」。すると店長「使えますよ。ここに絞りリングが付いてるでしょ。これがあるものはマニュアルカメラで使えます。手放されたD750などの最新カメラにも使えるんですよ。時代でいえば90年代のレンズで、F80とかF100の頃に出ていたレンズですね」。えらく安かったのでそのあたりも聞いてみると「今はMF専用レンズのほうが高価になってきています。そういう意味ではこの90年代のレンズはちょうどオールドレンズと現代のレンズの狭間期のレンズで、とても買い得なレンズだと言えます」。なるほどと。以降も70-300と70-210をボディ装着して試させてもらったりして、飲み会を一回我慢すれば買えるような価格で210mmのほうを購入することにする。

帰り際に店長「あ、そうです。お持ちのライカにはぜひLマウントのヘキサノンやフジノンも試されてみてください。当時の日本のレンズ技術は本当に素晴らしくて、おもしろい写りが楽しめます」。僕「ヘキサノンはC35でその実力に驚いたので興味がありますが、けっこうお高いんでしょ?」と聞くと、店長「いえ、ライカの数分の一くらいの値段で手に入るので、写りが素晴らしいうえにお買い得でもあるんです」と。今は在庫はないけど、わりと入荷はするとのことで、いいものが入ったら電話をもらうことにした。というわけで時間にしてどうだろう、小一時間くらい会話してたかな。ここには書ききれないくらいいろんな話をしたけど、ほんと楽しかったなあ。カメラの歴史を取り扱いのプロとしてずっと見てきた人の話だけに、すべての話に説得力があるし、年代を経て変わってゆくカメラの歴史が線になってつながっている話はとても興味深い。本を読むよりもこうして商品を取り扱ってきた人の話がいちばんわかりやすい。

というわけで、僕はさらにクラシックなカメラへの興味が深まることとなる。このお店の店長もそうだし、いつも立ち寄る2つのお店の店員さんたちの話もとにかくいつも興味深い。そして共通しているのは、とにかくみなさんカメラが好きっていうビームがびんびんに出ていて、話の途中から完全にお互いカメラ好きなるもの同士のカメラ愛談義になってるんだよなあ。フィルムカメラに惹かれるのは、その商品や撮れる写真の風合いももちろんだけど、こうして中古カメラを支える人たちとの会話の楽しさにあると思う、きっと。カメラがとても人間くさいアイテムであることの証のようにも思う。なんか、ずいぶんダラダラと長いブログになってしまったけど、つまりその、クラシックカメラって気持ちいいぞという話。はあ、撮りたくなってきた笑。(ちょっと記憶が曖昧で商品説明とかが間違ってたらごめんね☺︎)

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