エルマーMが僕を静かにする。

Leica M-P, Elmar M 50/3.5

午後からはオフで、夕方の光を待ってから愛犬と散歩カメラへ出た。カメラはLeica M-P、レンズは東京から連れて帰ってきたMマウントのElmar 50/3.5だ。僕はたぶん写真を好きな以上にカメラというプロダクトが好きなんだと思うけど、Elmar Mは見た目にも僕を本能から喜ばせてくれる。

Leica M-P, Elmar M 50/3.5

エルマーM、まさにM3が登場した時にMマウント用に改良されて出てきたレンズだ。M3といえば主役はズミクロンだけど、僕はバルナックライカから続くエルマーという存在にどこか無性に心惹かれる。僕のM3には主にPlanar T*2/50ZMがついているけど、このエルマーMの本命はM3ということになる。でも、きょうはまずその描写や使い心地をいち早く確かめたくて、デジタルのM-Pにつけて連れ出してみた。

Leica M-P, Elmar M 50/3.5

今朝、愛犬と散歩している時に桜が咲いている場所があったことを思い出し、まずは桜の花を撮ってみる。操作感はやはりスクリューマウント版よりもモダンだ。胸下に見下ろして眺めるデザインも1950年代のものとは思えないくらいミニマルで端正だ。歩きながらいつもの要領でまずは目測でピントを合わせ撮ってみる。僕はカメラやレンズの性能差のことは全然詳しくないので、その手の情報はぜひ他の人の詳細サイトを見てもらうとして、エルマーMがもたらす気分みたいなものをここでは伝えたいと思う。

Leica M-P, Elmar M 50/3.5

最初に桜を数枚撮ったものをモニターで確認した瞬間に「あ、やっぱエルマー好きだな」と思った。派手さはないけど、そこには落ち着いた端正な描写が写し出される。綿密に写り込むんだけど、そこから繊細でなだらかにボケが流れていく感じ。大口径のズミルックスとは明らかに異なる落ち着いたトーンだ。

Leica M-P, Elmar M 50/3.5

それでも決して地味というのとは違う。上手い例えが見つからないけど、学校のクラスにもいたと思う、控えめなんだけど芯の強さがあって、まわりの人からどこか尊敬されてる人、そんな確固たる存在感がこのレンズが描く世界にはある。いそうでなかなかいないんだよね、そういうパワーみたいなものを秘めてる人って。あの強さなんだ、エルマーって。

Leica M-P, Elmar M 50/3.5

平日にストリートの喧騒の中で素早くスナップを撮り続けていると、このエルマーがもたらす端正な手ごたえが実に心地いい。少しあたまとからだを休める感じ。急いで撮ることとは違う、どこまでも静かでどこまでもゆっくりとしたモーションをエルマーは僕に伝えてくる。そう考えると、こうして何気ない郊外の散歩道を静かに撮り歩くのにいいのかもしれない。

Leica M-P, Elmar M 50/3.5

使い勝手としては、距離を合わせるのはスクリューマウントのエルマーと同じでピントレバーで操作するんで僕にはむしろ使いやすいんだけど、絞りは少し扱いづらかったかな。レンズ前面てはなくてレンズ前方側面にあるのは使いやすく思えるけど、フードをつけるとやや目盛りがどこに合ってるのか見えづらく、動かしづらさもあった。慣れだとは思うけど。

Leica M-P, Elmar M 50/3.5

とはいえ、それも愛犬のリードを片方に持ってるからであって、街中で素早くスナップするわけでもないから、両手でじっくりゆっくり撮る分には気にならないだろう。というか、このエルマーをつける時はきっと初めから「きょうはゆっくり撮りたいな」という気分でレンズを選ぶんだろうと思う。

Leica M-P, Elmar M 50/3.5

絞りは開放でf3.5だから夕刻なんかは少し明るさが足りないかもしれないけど、それもデジタルに装置するのであれば感度を上げられるから特に問題はない。フィルムで撮るにしてもミラーショックのないレンジファインダーなら決して高感度フィルムでなくても、十分この絞り値で撮れると思う。僕はバルナックIIIaとスクリューマウントElmar 50/3.5に感度100のフィルムで夜の街を撮ってるから、このエルマーMもM3につけて夜の街へ繰り出してみたい。

Leica M-P, Elmar M 50/3.5

まだ手に入れて試し撮り初日だから、当分の間はエルマーMの癖をつかむまでじっくり時間をかけて辺りを撮り続けたいと思う。でも、どう撮れるかより、エルマーで撮るという心待ちにすごく意味がある気がしている。エルマーだけがもたらしたくれる時間。僕はきっとそれを得たくてエルマーMに恋い焦がれていたんだと思う。いい歳して恋とか恥ずかしくもあるけど、エルマーとはそういう特別の存在なんだ。

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